マレーシアの主要な通信事業者(携帯電話事業者)は、 マキシス・モバイル(Maxis Mobile)、 セルコム・アシアタ(Celcom Axiata) 、 ディジ・テレコム (Digi Telecom)の3社です。
4G(LTE)の周波数は8事業者に割り当てられています。2013年には、 旧移動電話系4G免許事業者すべてのサービスが供用開始となり、現在では、LTEのカバー率は人口の約90%を超えています。また、Celcomは2017年から5Gのトライアルを始めています。
主要事業者以外に、MVNO( Mobile Virtual Network Operator :移動体通信事業者から回線を借りて事業するもの=自分では無線局を開設していない)が2007年から始まっています。日本のMVNOとよく似ていて、格安だったり、ちょっとした小回りのきいたサービスがあります。
旅行者、短期滞在者の視点
通信の確保が最優先では?
旅行者、短期滞在者の視点で見ると、空港に到着して、まずは、通信の確保を考えるのではないでしょうか?
空港内は、フリーWifiもつながりますが、外にでると通信が途絶しますので、やはり、携帯電話のプリペイドSIMを買うというのが確実に通信を確保する方法です。
マレーシアは、SIMもデータ料金も非常に安いです。別の事情が無い限り、日本で海外用のポケットWifiを準備したり、Amazonなどで販売しているプリペイドSIMを買うよりは、空港で、携帯のSIMを購入したほうがいいと思います。
SIMフリー携帯をお持ちで無い場合は、プリペイドSIMの話は無意味です。SIMを購入しても使えませんから、レンタル携帯とか、ポケットWifiを選択するか、現地で携帯電話を購入するかしないといけません。
ここで、この携帯電話番号を使い捨てでも良いと言うことであれば、話は簡単で、単純にデータプランなどのお得感で決めちゃってかまわないです。
お勧めはTune Talk
お勧めは、Tune Talkかなと思います。データプランも安いし、スマホのアプリからも簡単に料金をチャージ(プリペイドの料金チャージのことをTop upと呼びます)出来ますし、同様に、データプランも契約できます。クアラルンプールでしたら、KLIA、KLIA2共に、Tune Talkのストアがあります。
なお、Tune TalkはCelcomもMVNOですので、電話(UMTS)3GはBand1、LTE(4G)は、Band3とBand7です。Band1は世界中で使われている周波数帯で、日本ではソフトバンクが使用していますが、Band3,7は日本でも米国でも使われていません。お手持ちの携帯電話がこれらの周波数帯に対応しているか確認しておいたほうがいいでしょう。最近の機種はたいてい大丈夫ですが、ちょっと古い廉価機種の場合要注意です。
参考:Celcomの周波数帯
KLIA TUNE TALK販売店
KLIA2 TUNE TALK販売店
空港で販売しているTune Talk SIMの地雷
実は、 空港で販売しているTune TalkのSIMは地雷があり、長期滞在者や、何度もマレーシアに来る人で”電話番号をキープ”したい人には不向きなので、要注意です。
空港で販売しているTune TalkのSIMは、Travel か Travel Liteプランしかおいてません。これは、短期間の使い捨てを念頭においているようでして、海外ローミングが出来ません。
もっとも、Tune Talkのカスタマーサービスに問い合わせをすれば、海外ローミングを出来るように切り替えてくれますが、正直言って面倒です。
私は、ローミングできないのを知らずに、日本に帰って使おうとしてローミングされず(日本ではアンテナが立たない圏外表示)に、じたばたした挙句、カスタマーサービスにお願いして何とか日本からつながるようになったという経緯があります。
なお、カスタマーサービスの対応はすばらしく、本当にマレーシアなのかとびっくりするくらいでした。
これは、空港での販売に限らないのですが、昨年までは、Tune Talkは、RM28で、一年間の番号有効期限延長オプションがあったのですが、現在はRM100に値上げされています。長期間、電話番号をキープする目的では、少し使いづらくなっています。
ロングステイヤー、ロングステイ予備軍の視点
電話番号キープが重要
ロングステイヤーの方や、ロングステイ予備軍の方の場合、一番のポイントは、「いかに安価に電話番号がキープできるか」です。
ここでは、MM2Hを利用したロングステイを前提としており、MM2Hの場合は、必ず、銀行口座を開設しなければならず、たとえオンライン取引であっても、TAC(Transaction Authorisation Code)をSMSで受け取らないといけません。
すなわち、銀行に電話番号を登録している状況なわけで、電話番号をしょっちゅう変更するのは非常に面倒です。できれば、電話番号をキープしておいて、いつでもTACを受け取って銀行口座をオンラインで運用できるようにしておきたいわけです。
ロングステイヤーが日本に帰国している間や、通常は日本に居住しているロングステイ予備軍は、TACをSMSで受信できさえすればよいわけです。SMS受信だけならデータ契約は必要なく、お金はかからないので、電話番号が有効でありさえすればいいということになります。
長期電話番号キープオプションがあるSIM XOX
昨年までは、Tune Talk、XOX、Digiの3つの会社のプリペイド契約で、1年間の有効期限延長サービスがありました。
Tune TalkがRM28、XOXがRM25、DigiがRM68で1年間の有効期限延長できたのですが、XOX以外の二社のプログラムの内容が変わってしまい、条件が改悪されました。
現在(2019年7月)は、XOXはそのまま変わりませんが、Tune TalkがRM100に値上げ、DigiがRM68の制度を廃止してしまいました。一般的に、RM1のTop upで一日の有効期限延長なので、Digiの場合RM365かかってしまうことを意味します。
こういった状況の変化により、電話番号を安価にキープしようとすると、これから新規でプリペイドSIMを入手する場合は、XOX一択になってしまいました。
XOXのメリット
前の章で書いたように、一年有効期限延長がRM25で出来るということが最大の特徴ですが、もうひとつおまけがあって、新規契約+RM10のTop upで、28ヶ月の有効期限が付与されるというところが多を圧してぶっちぎりです。
長いことマレーシアを留守にすることが想定される場合に無駄が無いということもありますし、データプランも使い切れなければ、翌月にロールオーバーしそれでも使わなければたまり続けるとのこと。そういうところもうれしいですね。
XOXのデメリット
販売店が限られており、空港など、旅行者が便利な場所では売ってない(ことが多い)。
デメリットはこの一点に尽きるかと。一般のSIM販売店で取り扱っていることが多いのですが、直営店や、専売店が少ないので、近くで見つけたSIM販売店で在庫があるかどうかがわからない、時によって変わる。といったことが発生します。
以前はKLIAで販売していたという話もあったのですが、今はもうやめています。
確実に購入できるのは、クアラルンプール近郊で、Tropicanaにある、XOXの本部(土・日曜お休み)と、 Sunway Piramid のモールにあるXOX Mobile という直営旗艦店 (土日も営業) です。
他にも、Google MapでOne XOXと入力して検索すると、取扱店が検索されるらしいのですが、実地検証できていません。
KLIAにXOXのブース出現 ここで普通の契約が可能 2019年9月24日追記
KLIAにXOXの販売ブースが出店していましたが、そこで通常のSIM(Tunetalkのようにトラベラー向けの限定商品でROAMINGができない等の制限のない、)が購入できるようです。
最大の欠点であった入手しにくいという問題が解決できそうですので、2019年9月時点ではXOX一択といっていいでしょう。
ロングステイヤーやロングステイ予備軍の視点からみたMobileの選択
あまり、バリエーションが無く、XOX一択ですが、MM2Hの本申請のための渡馬という場合、夜行便のフライトで早朝にクアラルンプールに到着し、その足で、銀行口座開設などという時間的余裕が取れない場合も考えられます。銀行口座開設には、必ず、マレーシアで使える電話が必要ですので、早朝、空港で購入できるSIMしかだめということです。
この場合は、空港でTune Talkを購入してとりあえず銀行口座を開設するしか手がありません。エージェントがプトラジャヤでMM2Hの本申請を代行してくれている間は、時間が空いているので、そこで、XOXのSIMを購入したくなるのですが、パスポートはエージェントが本申請のために持っていっています。(SIM購入には、パスポートが必須)
時間に追われる日程のときは、我慢して年RM100で一年延長しましょう。高く感じられるかもしれませんが、日本円で3000円程度(現状為替で、2,600円少々)なので、時間をお金で買っていると思えば安いです。
時間に多少余裕があるときは、XOXのSIMを購入し、今一度銀行に行って、電話番号の変更を手続きします。
なお、銀行によっては、支店窓口に行かなくても、ATMで電話番号の変更が可能です。また、そもそも携帯のSMSにTACを送るのではなく、セキュリティートークンを発行してくれる銀行もあります。
ナンバーポータビリティ(NMP)も可能ですが、少し時間がかかりますので、口座のある銀行の数が少なかったり、電話番号の修正にたいした労力が必要ないのなら、銀行に行って電話番号の変更をお願いするほうが楽です。
すでにロングステイ状態で、複数の連絡先があり、電話番号の変更に大変な労力を伴う場合は、ナンバーポータビリティしたほうがいいので、ケースバイケースです。
番外 ナンバーポータビリティ(NMP)の実践例
実際にナンバーポータビリティを体験された方からお聞きした実践例です。
ナンバーポータルの場合は、XOXでSIM購入と同時にナンバーポータビリティ(NMP)の申請書を提出します。
何時間か経過後にXOXの前契約(現契約)のキャリアから契約終了を確認するSMSが入ってきて、それに対して必要事項(たとえば、「YES」と返事するなどキャリアによる)を返信すると、さらに何時間か経過後に契約終了を確認しましたのSMSが来て、さらに数時間経過後に現契約のキャリアの電波が消えます。
その後に、新しいXOXのSIMを入れると、ナンバーポータビリティの完了です。
概ね、一日かかります。申請して、翌日の夕方に完了といったペースだそうです。
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