「親日国の世界地図」ー236のデータで実証
佐藤 拓 著
祥伝社新書
ISBN978-4-396-11529-6
目次
プロローグ
一章 日本のことが大好きな国トップ6
- 日本のことが大好きな国はアジアに集中
- 東南アジアで拮抗する日本と中国に対する信頼感
- インドネシア、ベトナム、フィリピン、タイ、台湾、マレーシア
二章 世界の親日国
- アジア各国の親日指数
- 中央アジア・コーカサス各国の親日指数
- 大洋州各国の親日指数
- 中東・アラブ各国の親日指数
- 欧州各国の親日指数
- アフリカ各国の親日指数
- 米州各国の親日指数
三章 米国・中国・韓国・ロシアの対日感情
四章 世界ランキングで見る「日本の魅力度」
五章 日本観光はどこまで魅力的か
エピローグ
特徴と感想
この本のプロローグには、「本書では、各種世論調査結果などに基づいて、データ重視で各国の親日度を測っている」と書かれており、思い込みや感情論を排した「データまとめ本」の位置づけです。
この本は、どうしても、自分の気になる国の親日度がどうなっているか、とか、反日国の状況とか、同盟国の親日度はいかがかといった、結果に目が行きがちですが、まずは、プロローグをじっくりと読んでいただきたいと思います。
プロローグの最後に、「親日指数」の定義が書かれており、この定義付けこそが、著者のオリジナリティが発揮された部分であると思います。つまり、引っ張ってくるデータは外務省の世論調査がベースになっていますから、その気になれば、だれでも読むことができると思いますが、それを著者がどう読み解いたのかがポイントです。
本書は、各国のページなどで、世論調査結果のまとめやデータが掲載されていますから、読者は著者に変わって、別の定義付けをして、眺めなおしてみることもできると思います。
さて、私が気にしているのは、もちろん、マレーシアをはじめとする東南アジア諸国ですが、本書では、「絶対的親日国」という高いランクの親日度に分類されています。
もちろん、マレーシアに対しても、かつては、日本軍が侵略していますし、特に中華系住民に対する差別・弾圧によって相当恨まれていますが、マハティール首相によるルックイースト政策などの影響もあり、日本が好きだという方は75%にも上っています。
しかしながら、 現代の日本人を好いてくれているとはいえ、戦時中の日本の行いまでもが肯定されたわけではないと考えるほうがいいと思います。 身内や知り合いを日本人のせいで亡くした方もおられると思います。そういう方は、簡単には過去の行いを忘れることはできないでしょう。絶対的親日国といえども、注意すべき点や配慮すべきことがあるのは言うまでもないことです。
上記のように、本書で表現されている「絶対的親日国」とは、著者の定義による「非常に親日度が高い:親日80%以上、反日10%未満の国」というものなので、”絶対的親日”という言葉をうのみにしてはいけません。そういった意味でも、プロローグをしっかりと読んで、きちんと定義を理解したうえで読み進めれば、いろいろなことがわかりやすく整理できます。
最近ロングステイ先として人気があるタイやフィリピンも「絶対的親日国」の中にあります。住むということから考えると、嫌われるよりは、親しみを持っていただける国のほうが過ごしやすいのではないかと思います。
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