遺言書

相続

遺言書は必須!

 マレーシアに資産がある場合、遺言書または、信託宣言による、資産相続の準備が必須といわれています。

 マレーシアでは、遺言書が無いと、相続するまでに、数年かかる(1年から最長5年)とも言われています。その間、銀行口座などが凍結されたりしますし、自動車も売却できません。

 遺言書がある場合は、数ヶ月程度(3~6ヶ月)で、裁判所の検認(Provate)が完了するといわれており、信託宣言により信託財産としている場合はさらに短期間で例えば銀行口座のお金を動かしたりできるようになります。

 (2019/7/26追記。遺言書があっても裁判所の検認に1年以上かかるケースが出てきているようです)

 遺言書と信託宣言

 遺言書は日本で言う遺言書と同じようなもので、通常法律事務所の弁護士に頼んで作成してもらいます。その名のとおり、遺言を残した人(被相続人)がなくなった後で、執行人が裁判所に申し立てるものです。

 一方、信託宣言は自己信託ともいい、委託者が自分自身を受託者として信託を設定するものです。相続人を受益者として設定することで裁判所の検認を経ずに資産が相続されますから、遺言書による相続よりも短時間ですみます。

 遺言書か信託宣言か

 遺言書の特徴として、「全世界にある自分の財産を妻と子に渡す」と記載してあれば、裁判所の検認を経てそれが実行されるわけです。一方、信託宣言の場合は、作成する時点で信託する資産を明記しなければなりません。時間の経過と共に、資産リストに変化が生じる場合は更新するなどの手続きが必要です。

 マレーシアでロングステイする場合はどうか?

 マレーシアにおける信託で、遺言よりも不利になる点があります。不動産資産の場合、遺言では安価な印紙税程度で相続できますが、 不動産を信託財産にする場合は、 信託財産登記 に当たって不動産価額の2%程度の印紙税が必要です。(2018年8月時点の情報。現状は確認が必要です)また、自動車については、マレーシア政府(JPJ)が信託を認めていない(委任状(POA)の法的効力(受託者へ所有権を譲渡をする)をJPJが認めてない) のでそもそも信託リストに含めることが出来ません。

 従って、例えば相続資産が銀行預金等に限定される場合は、信託宣言を作成しておけば、非常に短期間で相続可能ですが、自動車(他に宝石類もだめらしい)を所有している場合は信託範囲外なので、遺言状なしの相続と同じになり長期間かかってしまいます。

 信託宣言と遺言書は一長一短あるわけで、うまく使い分ける必要があります。マレーシアロングステイでは車を所有する人が多いと思いますので、遺言書を選択するべきでしょう。

 遺言書と信託宣言は並行して存在することが可能です。作成や管理費用がかさみますが、マレーシアにおいてある銀行資産などが大きい場合、遺言書を作成した上で、銀行預金などを信託宣言しておくという方法もありえると思います。ここは、ケースバイケースです。

信託の税務は要注意

 最後に注意事項。この話は、日本の税金について考慮していません。遺言状の場合(マレーシアで作成した遺言状が日本でそのまま通用するかどうか不明ですが)は相続税を考慮すればいいのですが、信託宣言(自己信託)の場合、受益者課税により、贈与税の対象になる可能性もあり、税務の専門家とよく相談する必要があります。

遺言書・信託の依頼先(2019年9月追記)

 リンク集に、遺言書や信託の依頼先を掲載しています。このほかにもたくさんありますが、掲載しているのは、日本語が通じるか、日本語サポートを提供していいる業者がある、比較的有名どころです。

  •  Soo法律事務所は、日本人がいますし、日本語のわかる華人もいらっしゃるので、メールで日本語で遺言書について問い合わせればOKです。(遺言書のみで信託はありません)
  •  AmanahRayaは、ビザエージェントの「Step1」が、作成サポート(通訳翻訳など)を有料で提供しています。
  •  Rockwillsについては、生活支援の「ミナサン・ライフ・ケア」が有料でサポート(通訳・翻訳など)を提供しています。

 ちなみに筆者は、Soo法律事務所をJM My Second Home Consultancyに紹介していただいて、2019年7月に遺言書作成及び永久保管依頼をしました。

 

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