マレーシア 人口ボーナスでまだまだ高成長!

お金

”人口ボーナス(英語: demographic dividend)とは、総人口に占める働く人の割合が上昇し、経済成長が促進されることを指す” 出展: Wikipedia/人口ボーナス

 もう少し細かく言うと、 ある国が「多産多死」から「少産少子」に切り替わる際に人口構成比の子供が減り、生産年齢の人口が多くなった状態、すなわち、高齢者が少なく、生まれる子供も少ないので、働き手に対して、従属する人たちが少ない状態を指します。 この時期は、労働力が豊富な割に 、社会保障費が少なくてすみ、経済発展をしやすいとされています。

 ページの上に示したアイキャッチの画像は、2017年のマレーシアの人口ピラミッドです。15歳未満の子供が20代よりも少なくなっており、少子化傾向が出始めていますね。年代別では、20-24歳がピークになっていて、働き手に対し子供が少ないということですね。

 基本的に、一度人口ボーナスが終わると、二度とこないものです。(大虐殺や、経験したことのないような災厄に見舞われるとか、大規模な移民により、人口構成比が変化するようなことがない限りは一度きりです)

 先進国は、すでに人口ボーナス期が終わっている国が多いですが、途上国は、これから人口ボーナス期の最盛期を迎える国も多いです。

東南アジア諸国の人口ボーナス期

 Jetroが2015年に書いたレポートがWEBに掲載されています。

世界 人口ボーナス期でみる有望市場は(PDF資料)

 この資料を見ると、薄緑の部分が最も人口ボーナスの効果が活発化する期間で、緑色の部分が人口ボーナス期が終る時期と書いてあります。日本は、とっくに人口ボーナス期は過ぎ去っており、これからは少子高齢化の進展と人口減少による衰退が危ぶまれています。

 東南アジア諸国の人口ボーナスの活発期と終了時期を抜き出してみましょう。(人口と一人当たりGDPは外務省「目で見るASEAN-ASEAN経済統計基礎資料」(PDF)より抽出)

人口(2017年)一人当たりGDP活発期終了年ボーナス終了年
日本12,67938,42819922005
シンガポール56157,71420122028
タイ6,9046,59420142031
ベトナム9,5542,34320162041
マレーシア3,1629,94520402050
ミャンマー5,3371,29920292053
フィリピン10,4922,98920502062

 そして、東南アジアを見ると、フィリピンが最も人口ボーナス期が遅くまで続き(活発期終了2050年、人口ボーナス終了2062年)、かつ、総人口もすでに1億人を突破しており、今後の成長頭として期待されています。

マレーシアの人口ボーナス

 マレーシアは、東南アジアの中では、フィリピンに次いで人口ボーナスが長く続きます。ちょうど、2019年は、人口ボーナスの活発期の真っただ中で、これが2040年まで続きます。人口ボーナス期が終了するのは2050年と予測されています。

 これらまだまだ人口ボーナスの恩恵を受ける国に対して、シンガポール、タイ、ベトナムでは、人口ボーナス期はまだ続いているものの、すでに活発期は終了しているということなので、成長はするものの、そのスピードは鈍化するかもしれません。

 これらの定義が正しいのかどうかについては議論しませんが、マレーシアはシンガポールを除くと一人当たりのGDPが10,000ドル近くあるASEANの優等生ですが、これからもまだ、人口ボーナスの恩恵を受けて、成長するのではないかと思われます。

高度経済成長期の空気感

 このような高度経済成長が見込める国は、やはり活気にあふれているのではないかと思いますが、いかがでしょうか?!

 私は、マレーシアに行くたびに、何とも言えない活気を感じます。「これからもっと豊かになるんだ」というオーラと申しますか”空気”とでも言いましょうか。

 私が若いころ、バブルが崩壊するまでは、日本にもこういう空気があったのではないかと思います。少なくとも、私が就職した1984年は、これからもっともっと良くなるんだという空気が確かにあったと思います。確かに残業時間は長く、休日出勤もあり、仕事を家に持って帰るようなワークライフバランスなどという言葉とは無縁でしたが、少なくとも給料は上がったし、業績をのこして昇進すれば、大変豊かになっている上司、諸先輩の話を聞いて、よし、俺もと思ったものでした。いわゆる、古き良き会社教時代のノスタルジーかもしれませんが、社会全体が成長していたのも確かです。

 これから2040年までの間の20年間は、マレーシアの人口ボーナス効果がピークを迎える時期です。高度経済成長期に身を置くのも悪くないのではないでしょうか!

 

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