リンギットの概要
マレーシアの通貨は、「Ringgit(マレー語)」です。日本語では、「リンギット」と表記することが多いですが、実際の発音は「リンギッ」に近く、話し言葉では「リンギ」と表記されることも多いです。公式名称が Ringgit Malaysiaであることから公式略称は「RM」を使います。なお、ISO 4217で定められている通貨コードは「MYR」ですが、マレーシア国内ではRMと記載されることがほとんどです。(ちなみに日本円のISO通貨コードは「JPY」、アメリカドルは「USD」です)
補助単位は「セン(マレー語: sen)」で1リンギット=100センです。
リンギットの特徴
リンギットは、アメリカドルや日本円のような国際通貨ではなく、マレーシア国外では流通していません。 これは、非常に特徴的です。
背景として、アジア通貨危機(1997年)のときの対応が挙げられます。ここでは、経緯については割愛しますが、通貨危機を乗り越えるために 「為替・資本規制」政策の採用により、外国投資家を国内市場から 事実上締め出すという対応をとったということです。この時のいわば「金融鎖国」とも言うべき政策が基本的に現在でも続いています。
現在のリンギットは通貨バスケット制(バスケットの内容は公開されていません)を採用し、変動相場制であるものの、政府の規制により海外での取引は出来ません。( マレーシアにも外国の銀行がありますが、全部現地法人になることが条件で、マレーシア中央銀行の監督を受けます。即ち、リンギットはマレーシア中央銀行が細かなコントロールをしている通貨で、外国銀行は海外では何もできませんし、実体のある取引がない投機行為を許していません。 )
リンギットの良い面・悪い面
リンギットの良い面としては、経済の実態に合った為替になるという点です。投機的な取引ができないようになっているからであり、投機筋による急な変動は起こりにくくなっています。
悪い面としては、例えば、日本からの送金のコストが高くつくという点(マレーシアへの海外送金については、別の記事を予定しています)や、リンギットの海外持ち出しに制限があるとか、いろいろ気をつけねばならないことがあります。
また、通貨に詳しい人にとっては、通貨としての流動性が無いことや、先物市場が公開されていないとか、ヘッジ目的ですら投機行為が認められないなど不自由を感じるのではないでしょうか。
高金利な定期預金
2019年6月現在、マレーシアの政策金利は3.0%で、銀行の定期預金は3%から4%程度であり、日本と比べると高金利です。マレーシア在住の方は、定期預金をうまく使って、資産運用や生活費の足しにされている方も多いです。MM2Hの定期預金は50歳以上で15万リンギット必要ですが、3%の金利としても、一年で4,500リンギ(1リンギ30円で13万5千円)も増えるわけです。
しかし、単純に高金利だからというだけでは、資産運用に向いているとはいえません。前述のようにヘッジできない点や流動性にかける点がありますから、他の通貨よりもより慎重に考えねばならないと思います。
MM2Hプログラムでビザを取得し、リタイア後の第2の人生を送っておられるような方にとっては、この高金利は魅力的です。マレーシアに居住せず、リンギットを使わないというような資産運用だけの場合は、為替変動に対する備えが必須ですが、生活費の足しにするという場合はかなり有効といえます。
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