一番低コストな海外送金は?オンラインで500万円以上を海外送金する方法は?マレーシアで口座開設してすぐに入金できる送金方法?こういった疑問に答える記事です。
銀行送金手数料はかなり高額 見えないコスト為替スプレッドが大きい
マレーシアに移住する場合には、いろいろな場面で、日本からマレーシアに送金する必要に迫られます。日本の銀行口座からマレーシアの銀行口座へ海外送金の仕組みを使ってやれば済む話ですが、これは、結構手数料がかかります。
送金費用ですが、これは、やり方によってかなり変わります。ここでは、三菱UFJ銀行から、HSBCマレーシアに対してUSドル送金した場合を例にとります。また、送金金額はRM15万を想定して、450万円とします。
http://truly-asia.com/cost-of-mm2h-visa/
送金手数料(三菱UFJ銀行窓口)7,500円、ドルへの両替、約40,900円(為替スプレッド1円/ドル、為替110円/ドルとした場合)、中継銀行手数料(0-2,500円程度)、ドルからリンギットへの両替(HSBC)71,100円(為替スプレッド1.58%ただし変動する)、送金費用合計:122,000円。
何も考えずに送金すると、このように、非常に高額な送金手数料がかかります。特に問題なのは、為替両替に伴う”為替レート差”です。銀行で提示されている送金手数料で数千円がかかりますが、そのようなものはたいしたことはなく、為替スプレッド(為替の仲値と実際の取引値との差)による部分が非常に大きいことがわかります。ちょっと見ただけではわからない巧妙に銀行の収益になる部分です。
為替両替差益は銀行にとっておいしい収入で、我々にとっては、見えないコストになっているのです。
普段使いで安上がりな送金 トランスファーワイズ(Transfer Wise)
手軽で、コストが安い送金方法といえば、トランスファーワイズです。トランスファーワイズは英国のフィンテック企業で、ほとんど世界中に送金できます。日本法人である、トランスファーワイズジャパン株式会社は、英国Transfer Wise Ltd.(FCA登録)の子会社で、関東財務局に登録されている資金決済法の定めによる資金移動業です。なんらの問題なく合法的な海外送金手段です。
いわゆる銀行送金とは違うので、いくつかの制限がありますが、日本とマレーシアに本人名義の口座がある場合は、オンラインのネット送金とあまり違いは感じません。
制限事項としては、大きく2つです。
1)資金決済法の定めにより、一回の送金限度額が100万円に制限されています。
2)通貨は送金元と送金先それぞれの国によって固定。なので、日本の口座にドルを持っているから、ドルで送金するということは出来ません。日本からの送金はすべて、円建てに限ります。
マレーシアへの送金例ですが、450万円を送金したい場合、100万円を4回と50万円を1回送金します。2019年6月25日時点での手数料は、100万円で10,026円、50万円で5,273でしたので、トータル45,377円です。銀行送金と比べるとずいぶんと安く済むのがわかります。
トランスファーワイズがローコスト送金できる理由
トランスファーワイズがなぜ、安く送金できるのかというと、実際に従来の銀行ネットワークを使って送金しているのではなく、多国間で、送金と着金をマッチングさせて、国内送金を行っているのです。例えば、日本からマレーシアに100万円送金するAさんと、マレーシアから日本に100万円相当のリンギットを送る人Bがいれば、日本のAさんの口座からBさんの口座に日本円100万円を送金し、マレーシアのAさんの口座に対して、マレーシアのBさんの口座から100万円相当のリンギットを送金すれば、銀行の海外送金システムを使わずに資金移動が出来ます。
実際には、こんな単純な話ではなく、いろいろな通貨で送金・着金するのを、総合的にマッチング相殺させて、最後に残ったどうしても相殺し切れなかった分を海外送金することで低コストを実現しているのです。
ですから、双方向でバランスが取れている通貨ペアや、取扱量の多い通貨ペアほどコストが下がります。
トランスファーワイズの口座作成や送金は非常に簡単です。口座開設方法や送金方法はトランスファーワイズのサイトで詳しく説明されています。
トランスファーワイズの口座作成はなんらデメリットがありません。
- 預託金が無い。(海外の銀行口座のように最低預金額というものは無い)
- 口座維持手数料がかからない。
ただし、口座を開設してすぐに送金は出来ません。本人確認手続きに時間がかかる(1~4営業日)ので、今すぐには送金はしないという人こそ、あらかじめ口座を作っておくことを検討してはいかがでしょう。いざ送金というときにすぐに送金できます。
トランスファーワイズがMM2H本申請の定期預金設定時の送金に使えるか?
MM2Hの本申請時には、50歳以上で、15万リンギットの定期預金を設定する必要があります。先ほどの例のように、5回に分けて送金すれば、送金できなくも無いのですが、トランスファーワイズには注意書きがあります。
1日の送金上限金額はありませんが、複数の送金を分割したと見なされる場合には、送金手続きを一時停止してご連絡させていただく場合がございます。
https://transferwise.com/ja/help/14/%E9%80%9A%E8%B2%A8/2932156/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%86%86jpy%E3%81%AE%E9%80%81%E9%87%91%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6
トランスファーワイズからの連絡を受けられるように、携帯電話や、メール受信などができるように準備しておく必要があります。海外で送金指示操作するときは、気をつけないといけません。IP電話と転送設定をうまく使うと良いでしょう。
参考記事
トランスファーワイズへの質問 2019年6月26日追記
トランスファーワイズに質問: 日本から500万円相当を送金したいとき、一日の中で、100万円を5回に分けて送金できますか?
XXXXX (TransferWise)
6月26日 9:15 CEST
****様
日頃より弊社サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。
トランスファーワイズのXXXXXと申します。
ご連絡いただき、ありがとうございます。
はい。可能でございます。
100万円を超える場合、複数に分けて送金手続きをご作成下さい。
また、ご質問等ございましたら、お気軽にお問合せいただければと存じます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
追加質問です。日本からマレーシアの送金(JPY-MYR)について、一日の限度額はいくらですか?
XXXXX (TransferWise)
6月26日 10:17 CEST
****様
日頃より弊社サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。
トランスファーワイズのXXXXXと申します。
ご返信いただき、ありがとうございます。
1日や1ヶ月の制限は特にございません。
マレーシア・リンギット(MYR)の送金について
また、ご質問等ございましたら、お気軽にお問合せいただければと存じます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
どうやら、500万円は一日のうちに送金できそうですし、もっと高額でもいけそうですね。(ただし全くの未検証)。なお、Transfer Wiseによるマレーシアの銀行口座への送金は何度も実行していますが、即日には着金しておらず、翌日着金でした。通常は十分な早さです。
問い合わせに対する解答もすばやく、非常に好感が持てます。日本からマレーシアに送金する場合、現時点(2019年6月)では、一番ローコストな海外送金手段です。
トランスファーワイズ手数料値下げ!! 2020年3月20日
安価な手数料にこだわるトランスファーワイズがやってくれました!! 2020年3月20日に日本円からの各種通貨の送金手数料を値下げしました。
これにより、Interactive Brokers証券の裏技を使い、シンガポールの銀行を経由するよりも安価に送金できます。
マレーシアリンギ(MYR)への手数料が、80円+0.78%で、最安です。
この値下げにより、他の送金方法をぶっちぎりの手数料最安と言えるでしょう。
MM2Hの定期開設向け500万円を送金する方法(正攻法)
MM2Hの本申請(ビザ取得)手続きを前提に考えます。つまり、MM2Hの仮承認レター(Approval Letter)を本人が銀行窓口に持参して、その場で口座を開設します。それから、開設した口座に対して海外送金し、そのお金で定期預金を設定し、その定期預金証書と仮承認レターとパスポート他を持参して本人が、(または、MM2H代行業者が代理人として)プトラジャヤの観光省MM2Hカウンター行くことでビザが発給されます。
キーポイントは、マレーシアに渡航し、銀行口座を開きどれだけ短期間で海外送金できるかということです。この期間が長ければ、渡航期間が長くかかりますから、休暇が自由に取れない職種の人は大変ですし、場合によったら、2回に分けて渡航しないといけないかもしれません。
短期間で送金する一番簡単な方法は、信頼できる人(家族とか)に日本で待機してもらっておいて、口座が開設されたらすぐに口座情報を連絡して、日本から送金してもらうことです。
しかし、自分しか頼る人がいない場合は、そうはいきませんので、何とか、オンライン送金できないか、ということになります。
各銀行が、いろいろなオンラインサービスを展開していますが、気をつけなければならないのは、送金限度額と、送金先登録に要する時間です。
今回、500万円をターゲットに考えると、検討の対象は限られてきます。
また、オンライン送金の場合は、たいていの場合、送金先事前登録が必要で、これに時間を要することがあります。
オンラインで一回で送金できるのは、ソニー銀行です。限度額が500万円ですからちょうどいいです。しかし、ソニー銀行の場合は、送金先の事前登録が必要で、これに、3~5営業日必要ですので、ちょっと時間を要します。
SMBC信託銀行はもともとシティバンクのリテール部門で、海外送金には強い銀行で、一回の送金こそ300万円が限度ですが、一日600万円まで送金できるんです。しかし、これまた残念ながら、 送金先の事前登録が必要で、登録処理に6-8営業日かかるとされています。
では、国内の銀行からではどうにもならんのかということなんですが、若干ましなのが、三井住友銀行です。三井住友銀行では、一日あたりの送金限度額が300万円なんですが、事前登録の手続きが翌営業日中とされているんです。
事前登録:1日、300万円送金:1日、残り200万円送金:1日。合計3日。
最短で、3日で500万円の送金が完了する可能性があります。(送金手続きの時間帯やその他の状況によっては、翌日着金になってしまうことがあります。その場合、すべてを着金するまで4日かかることになります)
銀行 | 送金限度額/日 | 事前登録日数 | 合計着金予測 |
ソニー銀行 | 500万円 | 3-5営業日 | 3-6営業日 |
SMBC信託銀行 | 600万円 | 6-8営業日 | 6-9営業日 |
三井住友銀行 | 300万円 | 翌営業日 | 3-4営業日 |
MM2Hの定期開設向け500万円を送金する方法(米国オンライン証券口座を活用する方法)
万人向けではないし、事前の準備が大変なんですが、大金を一気にオンラインで送金してしまう技を御紹介します。
まず、米国Interactive Brokers証券に証券口座を開設します。すべてオンラインで開設できます。口座を開設する方法は、Interactive Brokersのホームページに細かく記載されています。
証券口座が開設できましたら、日本円でインタラクティブブローカーズ証券の自分の口座宛に500万円を送金します。この場合、日本にあるシティバンク東京支店にインタラクティブブローカーズが非居住者法人口座を開いてますので、そこにあてて、送金します。ここでは、三井住友銀行を利用するのが安上がりです。
ただし、この金額ですと、窓口に行って手続きしないといけません。
三井住友銀行は、800円の手数料で、日本国内にある非居住者口座宛の送金を受け付けてくれます。途中で、ドルなど外貨への両替が無いので、800円の手数料だけで送金手続きが出来ます。しかし、あとから、中継銀行手数料が請求され、口座から引き落とされますが、500万円の場合は2,500円です(2018年12月時点)。銀行から電話がかかってくるのでびっくりしますが、中継銀行の手数料請求の連絡です。合計しても3,300円なので激安です。
この窓口での手続きが曲者で、支店によっては、非居住者円口座に対する送金手続きを理解していない場合があります。筆者の場合、これは海外送金だといわれ、海外送金用の用紙に記入させられたり、どたばたしました。結局、一時間近くかかって、やっと実行できました。この手続きは、なるだけ大きな支店でやるほうがいいと思います。
インタラクティブブローカーズの口座では、非常に安い手数料で、外貨への両替が出来ますから、一旦日本円で送金して、ドルなどに両替するんです。
ここで、インタラクティブブローカーズのすごい点が物を言います。なんと、一ヶ月に一回は送金手数料無料で世界中の銀行口座に対して送金できるんです。FXの両替も激安で、さらに手数料無料ですから、もし、マレーシアリンギットが国際的に流通している通貨であったならば、究極の裏技送金が成立するんですが、残念ながら、リンギットには両替が出来ないんです。
仕方が無いので、ドルで、マレーシアに向けて送金しますが、その場合は、着金する銀行の為替レートの違いによりコストが変わります。例えば、HSBCだと、ドル/リンギットの為替で、1.58%くらい持っていかれますが、これはどうにも仕方ないというところです。
インタラクティブブローカーズで海外送金(インタラクティブブローカーズでは「出金」「ワイヤー出金」と表現しています)するときの注意点は、入金してから出金まで、最低3営業日は資金を寝かさないとだめだという規制があることです。
MM2Hの送金手段として考える場合は、3日以上前に、資金をインタラクティブブローカーズの口座に入れておけばいいわけですから、それほどの障害ではないでしょう。
そのかわり、マレーシアの銀行で口座を開設して、口座番号が決まったら、すぐに、インタラクティブブローカーズの自分の口座にアクセスして海外送金(ワイヤー出金)の手続きをすることが出来ます。送金のリードタイムは非常に早いです。マレーシアの朝に口座を開設してすぐに送金手続きすれば、即日着金しますが、時間帯によっては、翌日着金の場合もあります。
うまくいけば即日、悪くても翌日には着金し、しかも割安に送金できるのはすごいと思います。
他にも方法があるかもしれませんが、私の知る限り、口座開設から最短で500万円を送金する方法です。(他に海外の銀行口座をすでに持っているという方は、そちらから送金すればいいので、そういう方は、この記事は無視してください。)
銀行 | 送金限度額/日 | 事前登録日数 | 合計着金予測 |
ソニー銀行 | 500万円 | 3-5営業日 | 3-6営業日 |
SMBC信託銀行 | 600万円 | 6-8営業日 | 6-9営業日 |
三井住友銀行 | 300万円 | 翌営業日 | 3-4営業日 |
インタラクティブブローカーズ | 20万ドル* | 0 | 即日ー1営業日 |
トランスファーワイズ | 上限なし | 0 | 1営業日? |
*インタラクティブブローカーズはセキュリティデバイスによって出金上限額が異なります。スマホによる「SMS」や「IBKRモバイル認証プロセス」を利用する場合は20万ドルですが、「デジタルセキュリティカード」をつかえば、無制限になるようです。 https://www.interactivebrokers.co.jp/jp/index.php?f=ibgStrength&p=log#limit
トランスファーワイズマルチカレンシー口座で瞬速移動!
トランスファーワイズのマルチカレンシー口座サービスが、日本居住者にも利用可能となりました。さっそく使ってみたのですが、米ドル(USD)からマレーシアリンギット(MYR)で、トランスファーワイズのマルチカレンシー口座からCIMBに送金したところ、あっという間に着金しました。数分以内でした。
番外編 おそらく一番ローコストな「資金移動」
クレジットカードのキャッシングをうまく利用すると、恐ろしくローコストな資金移動が出来てしまいます。「資金移動」と書いたのは、ATMから現金を引き出すという手法なので、送金とは言いがたいのですが、たとえば、年金受給者が日本の口座に入金された年金を直接海外キャッシングという手法で、マレーシアのATMから引き出すという用途には使えると思います。
この手法については、とても詳しく研究・解説されたサイトがあるので、そちらをご覧ください。
2019年クアラルンプールで実験した記事もご参考。
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